茶杓は、棗(なつめ)からお抹茶をすくって茶碗に入れるための匙です。
普段は筒に収められており、この筒に銘(茶杓に付けられた固有の名前)が記されています。
昔は茶会の度に作られたそうで、保存をしておく習慣が無かったため、残念ですが古い時代のものはあまり残っていないようです。
中国から伝わった当初は、象牙や鼈甲を素材としていたものが、利休の時代に竹製のものに変わったようです。
櫂先は、楕円形で竹の表皮側を曲げた形になっています。
櫂先も茶道各流派により形状の決まり事があるようですが、私はあまり関心がありません。
それよりも、なぜ利休は竹を選んだのでしょうか?
その当時、その発想は異端ではなかったのでしょうか。
竹皮には、亜硫酸、サリチル酸が含まれており、防腐作用や殺菌作用があります。
中国では象牙や鼈甲が薬匙として使われ、日本では竹になった。日本のどこにでもある竹、その竹を茶杓に使う。
何でも無いようですが、素晴らしい発想です。
さて、2020年は東京オリンピックです。
世界各国からのお客様に日本の文化を紹介するとしたら、皆さんは何を話すことができますか?
(代表取締役 増田 敏政)
写真の茶杓は社長が毎日会社で愛用されているもので、
お母様が使われていたものを継がれています。
使い込まれ、光沢を帯びなんともなめらかで、
柔らかい握り具合です。