~ 母とお茶 ~
[19.04.25]
「こんな幸せな母親はいないだろうね」
いつもの朝の母の口癖だ。
自分の作った抹茶茶碗で、朝お茶を点ててあげるのが私の日課だ。
「あーあおいしい」言っちゃいけないんだよね。
「自分の息子にお茶を点ててもらうとは思わなかったよ」
昨日どこへ行ったの?
昨日誰が来た?
昨日は何を食べたの?
「わからないんだよ。思い出せないんだよ」
「なんでこんな風になっちゃったんだろう」
「寂しいなあ。悔しいなあ」
昔、古文の授業で習ったことを急に思い出した。
母親を背負った息子がおいおいと泣いた。
昔は、わんぱく坊主でいたずらばかりをして母親を散々困らせた息子が、
母親を背負いながらおいおいと泣いた。
昔はとても泣くような子ではなかったのにと母親が不思議に聞くと、
母親の痩せてあまりにも軽くなった体の中に
母親の「老い」を感じて泣いた。という内容の話だったと思う。
お茶とは凄いものです。
こんな昔のことを思い出させる力があるのだから。
「こんな幸せな母親はいないだろうね」
これで3回目だよ。
増 木 工 業 株 式 会 社
代表取締役 増田敏政
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