忘れていませんか?税金の申告
[19.12.11]
■はじめに
先日、ある芸能人が自身の設立した法人での法人税の申告を怠っていたというニュースが話題となりました。みなさんにとっては対岸の火事と思われているかもしれませんが、身近には意外と忘れてしまう税金の申告もあります。自分に当てはまるものがないか、一度確認してみてください。
■申告しなければならないもの・しなくてもよいもの
税金は大きく以下の2つに分けられます。
・納税者が自分で納める税金を計算して申告・納税するもの(申告納税方式)
・税務署や市区町村が納める税金を計算して納税者に通知するもの(賦課課税方式)
みなさんが申告しなければならないものは「申告納税方式」の税金のみで、
法人税・所得税・消費税・相続税・贈与税などがあります。
■法人の場合
法人は決算日から原則2月以内に、法人税・消費税・法人県民税・法人市民税の申告を行う必要があります。これを怠ると、本来の法人税などの他、加算税・延滞税といった余分な税金がかかってきます。ただ、法人を設立される方は同時に税理士に依頼することがほとんどですので、よっぽどのことがなければ申告を忘れることはありません。
■個人の場合
個人は法人と比較すると課される税金の種類が多いため、申告を忘れる可能性が高くなります。
税金ごとに忘れやすいケースを挙げてみます。
*所得税
所得税の申告・納税は翌年3月15日までに行う必要があります。個人事業を営んでいる方は慣れていると思いますが、会社にお勤めの方は年末調整で完結してしまう場合がほとんどであるため、馴染みがないかもしれません。最近では、税務署が銀行や証券会社などから多くの情報を得られる仕組みが整ってきているため、申告を忘れると指摘される可能性が高くなってきています。
<申告を忘れやすいケース>
・2箇所から給与を受け取っていた、副業による利益がある
・民泊やインターネットオークションやフリーマーケットアプリを利用し利益を得ている
・FX、ビットコインなどの仮想通貨の売却で利益を得ている
・競馬で大当たりした(SNSで自慢すると発覚するかも…)
・不動産の売却で利益を得ている
なお、不動産の売却や株取引で損失が発生した場合、翌年以降の同じ種類の利益と発生した損失を
相殺できる制度もあります。この制度を利用する場合も、申告が必要となります。
*贈与税
贈与を受けた方が、所得税の申告・納税と同じく翌年3月15日までに行う必要があります。金銭だけではなく、不動産や貴金属などの贈与についても申告の対象となります。また、複数人から贈与を受けた場合は、贈与を受けた方は合算して申告する必要があります。なお、110万円までは基礎控除の範囲内で贈与税がかかりませんので、申告の必要はありません。ただ、申告をしない場合は贈与を証明する書類(贈与契約書など)をしっかり整えておかないと、相続税の税務調査で指摘される可能性が非常に高いため、注意してください。
<申告を忘れやすいケース>
・父母からそれぞれ100万円の贈与を受けた(※合計200万円のため、申告が必要)
・祖父から住宅取得のための資金の贈与を受けた
(※特例を利用するために、納税の必要がなくても申告が必要です)
*相続税
亡くなった方(被相続人)の配偶者や子・父母・兄弟など(相続人)が、亡くなった日から
10月以内に申告・納税をする必要があります。平成27年以降、基礎控除が従前の6割
(3,000万円+600万円×相続人の数)に縮小されたため、申告をする必要のある方が
増えています。相続税がかかる可能性のある方に対しては、税務署からお知らせも届きますので、
期限までに忘れず申告・納税をするようにしてください。
<申告を忘れやすいケース>
・高額な趣味の絵画があった
・財産を子供名義の預金に移していた
・相続財産は基礎控除額を超えていたが、小規模宅地の特例
(居住用の土地の評価減のできる特例)を受けることで基礎控除額以下となるため申告しなかった
■まとめ
このように、法人を設立していなくても税金の申告を行わなければならないケースは身近にあるものです。税金の申告を行わなかった場合、追加の税金の負担は多大なものになります。思い当たる点のある方は、税務署や税理士などに確認し、うっかり申告を忘れていた!というようなことのないようにご注意ください。
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