増木の光
[19.08.02]
新座市が観光都市を目指しているというので、この数年間、私も新座市の観光を 考えております。観光とは光を観ることです。観光においでいただくとは、こちらの光を観ていただくということです。
当地には、古刹の平林寺があります。しかし、平林寺の建物、庭園、雑木林などが、いかに素晴らしいものであっても、その物自体を光ということはできません。物が単なる物にとどまる限り、お客様の感動が長続きすることはありません。一度見れば足りるということになってしまい平林寺が、訪れるお客様を魅了する光であるためには、その背景にある人々の営為、文化の厚みが必要です。
平林寺に託した先人の思い、禅、茶、華などに込められた日本人の心の有り様、自然に感謝し、弱者を憐れみ、身を低くして生きようとする思いに、何かしらお客様ご自身の心を重ね合わせていただけたとき、平林寺の建物や庭園は光として輝くはずです。
また、我々が平林寺の紅葉を観て感じるような人の世の栄華や儚さ、老境の落ち着きや哀感、錦繍をまとって舞い踊る子供たちの歓喜、湧き上がる心の躍動、あるいは深く静かに沈潜する思い。そういった得も言われぬ人の心の動きをお客様に味わっていただけたとき、平林寺の紅葉は光を放つはずです。
それではひるがえって、お客様に観ていただく増木の建物に込められた光とは何でしょうか。
それぞれが、その持ち場で、日々正直に、勤勉に、愚直に働く。
生き生き働くことは生き生きと生きること。
これにより、人にも会社にも見えてくるものがあるはず。
その時、お客様は増木の建物になにかしら光を観てくれるのではないでしょうか。
弁護士 香川 實
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