70歳までの就労確保が努力義務に
[20.05.08]
70歳までの就労確保が努力義務に~改正高年齢者雇用安定法成立へ
◆改正高年法が成立
新型コロナウイルスに関する騒動のなかで、大きく報道される機会が減ってしまった印象の今国会審議中の改正法案ですが、3月末に、従業員の70歳までの就労確保を努力義務とする改正高年法(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)が雇用保険法や労災保険法などとあわせて成立しました。来年4月の施行とされています。
◆65歳から70歳までの高年齢者就業確保措置が努力義務に
現在、平成25年改正により、65歳までの「高年齢者雇用確保措置」が企業に義務付けられています。「高年齢者雇用確保措置」とは、「定年の引上げ」「継続雇用制度の導入」「定年の廃止」のいずれかの措置をいい、あくまで「雇用」を前提としたものになっていますが、今回の改正では、65歳から70歳までの「高年齢者就業確保措置」として、これらに加え、労使で同意したうえでの雇用以外の措置(継続的に業務委託契約する制度、社会貢献活動に継続的に従事できる制度)の導入のいずれかを講ずることを、企業の努力義務にするとしています。「再就職支援」、「フリーランス契約への資金提供」や「起業支援」など、これまでの考え方にない措置が登場している点は注目に値します。高年齢者就業確保措置の実施や運用の詳細については、今後指針が出される予定です。施行まで1年と短いですので、最新情報を注視していく必要があります。
◆今後の雇用の在り方について検討を
今回の改正は、努力義務とされていますが、将来的には義務化も検討されています。高齢者の雇用については、年金法の改正による老齢年金の受給開始時期の拡大や雇用保険法の改正などとも密接に絡み合うものです。少子高齢化や労働力人口の減少は避けられない状況のなか、企業としても、高齢者雇用をはじめとした、これからの雇用の在り方をしっかり検討していきたいところです。
新型コロナウイルスによる厚生年金保険料等の納付猶予制度
日本年金機構のホームページに、厚生年金保険料等の納付猶予について、次のとおりお知らせが出ています。
新型コロナウイルスの影響により、厚生年金保険料等を一時に納付することにより事業の継続等を困難にするおそれがあり、一定の要件に該当する場合、厚生年金保険料等を分割納付できる仕組みがあります。事業主の方は、納付すべき厚生年金保険料等の納期限から6月以内に「換価の猶予」の申請ができます。また、災害等によって事業所の財産に相当な損害を受け、厚生年金保険料等の納付が困難となった場合は、事業主の方からの申請に基づき、保険料等の「納付の猶予」を受ける制度があります。
◆「換価の猶予」の概要
申請要件は、次のすべてに該当することです。
a 厚生年金保険料等を一時に納付することにより、事業の継続等を困難にする
恐れがあること
b 厚生年金保険料等の納付について誠実な意思を有すること
c 納付すべき厚生年金保険料等の納期限から6か月以内に申請されていること
d 換価の猶予を受けようとする厚生年金保険料等より以前の滞納又は延滞金がないこと
e 原則として、猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供があること
換価の猶予が認められた場合は…
①猶予された金額を猶予期間中の各月に分割して納付することになります。
②猶予期間中の延滞金の一部が免除されます。
③財産の差押や換価(売却等現金化)が猶予されます。
猶予期間は、原則1年の範囲内で年金事務所が認めた期間となります。
◆「納付の猶予」の概要
猶予の要件は次のとおりです。
a 次のいずれかに該当する事実があること・財産につき、震災、風水害、
落雷、火災その他の災害を受け、又は盗難にあったこと
・事業主又はその生計を一にする親族が病気にかかり、又は負傷したこと
(個人事業所)
・事業を廃止し、又は休業したこと等
b aの該当事実により、納付すべき厚生年金保険料等を一時に納付することが
できないと認められること
c 申請書が提出されていること
d 原則として、猶予を受けようとする厚生年金保険料等の金額に相当する
担保 の提供がある事
納付の猶予が認められた場合の効果は、上記「換価の猶予」と同じです。
~5月の税務と労務の手続期限[提出先・納付先]~
11日
- 源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]
-
雇用保険被保険者資格取得届の提出
<前月以降に採用した労働者がいる場合>[公共職業安定所]
15日
- 特別農業所得者の承認申請[税務署]
6月1日
- 軽自動車税の納付[市区町村]
- 自動車税の納付[都道府県]
- 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
- 健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]
-
労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出
[公共職業安定所]
-
外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)
<雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]
- 確定申告税額の延納届出額の納付[税務署]
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